2010年2月24日水曜日

冬季オリンピック感想(3)4回転ジャンプのこと

くるくるくる。
何回まわっているのかすでにぼくらにはわからない。

男子フィギュア。
4回転ジャンプをした選手が負けて、回避した選手が優勝した。
「4回転しなきゃ、ただのアイスダンスじゃん」
「回ってりゃいいのなら、数秒で終わるぜ」
てなことを選手は言ってたみたいだ。
銅メダルの高橋選手は4回転に挑戦して失敗したが、4回転はすべきだと思ってるみたいだ。
人間の限界が上がると、これが4回転半、5回転・・・となっていくのかもしれない。
前にTVでは6回転までできそうなことを言ってた。

回転は、フィギュアスケートの華だ。
そいつは間違いない。
でも、
演技の流れを途切れさせてまで回るべきなのかどうかは疑問。

スムーズな演技であるならば、その中でジャンプはしてほしいと思う。
でも現在、男子の4回転や女子の3回転半以上は跳ぶ前に、長いときは数秒間なにもしない準備期間がある。
後ろ向きに滑りながら力を溜めていって・・・と。
あれはあまり好きじゃない。
それよか踊って欲しい。

これまでの中で、この人のジャンプは見ていたいと思ったのは伊藤みどりさんのジャンプだけだ。
ぎゅわんっ!
きゅるきゅるきゅる!
がしっ!
あの迫力はすごかった。
どこまで昇るのというくらい高く。
ああいう魅せるジャンプでないのなら、正直なところ、演技優先の方がいいと思う。
何回転でも凄さにはあまり違いがないや。

冬季オリンピック感想(2)岡部選手のこと

(1)だけで終わってしまうかもしれないのもなんなんで、もうひとつ書いておこう。

日本選手団の主将でありスキー・ジャンプ選手の岡部孝信選手は、この大会結局出場することができなかったそうだ。
当人としては、ものすごく残念だったろうが、これはこれで、どこかカッコいいような気がした。
戦わずして敗れることの虚しさ。
たぶん、みじめだったろうと思うが、みじめさのカッコよさというのもあるのだ。
曰く言い難しで、なぜそう感じるのかということは表現しにくいのだが、ひとつはおそらく、彼が全力を尽くしてきたであろうことと、けっして諦めなかった人だったのであろうことを知っているからなのだ。
弓折れ矢尽き崩れ落ちた人の潔さを感じるのだろう。

冬季オリンピック感想(1)国母選手のこと

冬季オリンピックははや前半が終わったようだけど、なんだか今回はやたら印象が薄い。
あまりTVで観られないということが大きいのだろう。
滑降が好きなので、それだけでもと思ってはいたのだが。

とりあえず一番印象に残っていたのがスノボ・ハーフパイプの国母選手の服装問題だったりする。
それも苗字の読み方がわからなくて、これで「こくぼ」と読むと知ったときに「へぇ」と思ったのが個人的にはいちばん大きかったりする。
TVなどからよく聞こえてきてた「こくぼ」は彼のことだったのか、と。「小久保」だと思っていた。

ともあれ、数年後にはかすかな記憶となり、「そんなこともあったっけ」となりそうなので、将来自分で読み返したときのためにメモでもしておこう。
「冬季オリンピック感想」として書いておこうと思うのだが、今の調子では「1」だけで終わるかもしれない。
次の休みに期待。

経緯は国母選手が「腰パン」など崩した着こなしで出発の空港に現れたことに始まる。
これは公式の場ではないとは言える。
それに対し「だらしない」などいろいろ意見が来て、橋本聖子団長とともに謝罪会見などもあった。
その前に国母選手自身の「反省してまーす」というようなちょっと人を食ったような謝罪の言葉もあったようで、人々の神経を逆なでしたもよう。
競技ではたしか8位入賞。果敢に技に挑戦して失敗した結果なので当人的には問題なかったようだ。
帰国するときには、「ちゃんとした」着こなしになっていたらしい。

それにしても、そんな程度のことで大騒ぎしたものだ。
彼は結局、開会式への参加は辞退せざるを得なかった。
一時は競技に出させないというような意見もあったらしいが、怖い話だ。
スノボなどをやっている人たちの文化としては、ああいうスタイルを取るのは当然とも言える。
いわば、あれが彼らの正装なのだ。おそらく。
後で写真を見たが、着こなせていて似合ってたし、そんな不快感は抱かなかった。
問題なかったんじゃないかと思う。

ひとつの国の中には、昔の人々の国と、今の人々の国、そんな二つの国が必ずある。常時ある。
価値観は変遷していくから当然だ。
そしてその中間あたりの国のことは無視される。だいたいの場合。中間の国は主張が弱いのだ。

現在は、個性を重んじ自分らしさを出していくことを是としている風潮、あるいは教育がなされている。
そんな中で、こういうときは別、というのは説得力がないし、誰も判別できないだろう。
「常識的に」と言われても、その「常識」が異なるのだから。
そういう「しきたり」などは誰も教えていないし、親も「しつけ」をしていないというのが現在の日本なのだろうから。
もし、「こういう場ではこういう格好はよくない」というものがあるのであれば、事前に告知しておく必要があったのだろう。
その意味では、橋本団長の責任とは言える。
正直なところ、そこまで配慮できるものでもないとは思うが、ご本人も「私の責任」とは語っていたようだし。
ならば、たとえば会見も橋本団長一人で出て、「あれは彼の生き方そのものであり、それに対して他者がとやかく言うことはできない、しかし、服装のTPOを教えていなかったのは私が悪かった」とかいうようなことを言ってくれれば、カッコよかったかもしれない。

まあ、国母選手にも最後まで意地を貫き通してほしかったかもしれない。
ヘタに事を荒立てないように、大人の対応をしてしまったようで残念だったとは言える。
そこはちょっとカッコわるかった。

2010年2月14日日曜日

椹野道流「貴族探偵エドワード」

9巻 紺碧の海を渡るもの
豪華客船でスカーレット追跡の旅に出るエドワードたち。その客船にはなんと怪盗ヴィオレの予告状が届いていた。船上での再対決。すべてが終わったとき、ビュトールの「時間割」だったと思うけど、ミステリは探偵が犯人を殺す最後の殺人事件により幕を降ろす、というような悲哀を覚えるエドワードたちだった。

【アイゼリア号】豪華客船。運賃はすごく高い。チーノまで行ける。
【アデル】エドワードの母。
【アルヴィン・ブルック】バルフォアでエドワードと同級だった。天然ボケで飄々としたメガネ青年。でも、発明の才が豊かで、大ヒット作もあり、現在はけっこうな大金持ち。発明王と呼ばれている。執事のパーカーと闘いの日々。クレメンスとは学生時代から気が合わずいがみあってきた。
【ヴィオレ】怪盗。エドワードのライヴァル。あくどい金持ちから盗んだ金品を貧乏人ん配る義賊。庶民の人気は高い。トーヤも贔屓にしている。
【ウノスケ】チーノの人。小屋のようなところに住んで周辺住人の道具の修理などをして暮らしている。なにか使命があるらしい。
【エドワード・H・グラッドストーン】地方領主の息子に生まれたが、首都ロンドラで探偵稼業を始めた。女装したら美女として通用する超美形。性格は正々堂々。
【グラッドストーン家】マーフォードをおさめる領主の一族。エドワードはこの家の人。
【グレゴリー・アトウッド】シーヴァの兄。最近では老齢の父に代わりグラッドストーン家を仕切っている。
【クレメンス・マクファーソン】バルフォアでエドワードが尊敬していた先輩だった。が、魔物をあやつる恐ろしい人に変貌していた。探偵となったエドワードと敵対することになる。現在は・・・
【シーヴァ・アトウッド】代々グラッドストーン家に執事としてつとめるアトウッド家の人間。エドワードの子守だったが、現在は探偵助手。エドワードに一生ついていくつもり。
【ジェイド】ハリエットのアパートで暮らすエキゾチックで美しい色っぽく謎めいた占い師。すごくよく当たるので大物の知人が多い。
【スカーレット・フレイム】力の強い妖魔。エドワードの宿敵。
【チーノ】こちらの世界での日本のような遠い国らしい。
【トーヤ・アカホシ】バルフォア校を中退、エドワードの探偵助手となった東洋の少年。あやしく瞳が輝くとき霊的なものを見ることができる。
【ネコハチ】チーノの人。ウノスケの知人。部屋の中でテントを立てて瞑想する。
【パーカー】アルヴィンの執事。
【バード・クラン】秘密結社的な何からしい。ルーティルが関与している。
【ハリー】シーヴァの父。グラッドストーン家を仕切っているが、老齢ゆえ最近は息子のグレゴリーにかなり任せている。
【ハリエット・マーシャル】エドワードの下宿の女主人。おっとりした未亡人。どうやら怪力らしい。シーヴァと相思相愛のようだが、この恋愛はなかなか進展しない。
【バルフォア】エドワードの母校。トーヤもアルヴィンもクレメンスも同様。
【フェリシア】ヘンリーの妻。
【プライス】ケビン・プライス警部補。エドワードのおかげで登場時よりちょっと出世して現在はロンドラ警察に所属。乱暴な言葉遣いだが、根はやさしく男気のある人物。意外に思慮深くもある。
【ヘンリー】エドワードの長兄。おっとりとおおらかな人。
【マーフォード】エドワードの故郷。グラッドストーン家がおさめている地。
【マイカ・フロスト】プライスが養っている健気な少年。強盗に家族を殺されて孤児になったところを拾ってくれたプライスのことが大好き。本人的には刑事の助手。
【ミリアム】ヘンリーとフェリシアの子ども。
【ユージィン】女装趣味の脚本家。アルメイダ劇場所属。「薔薇の義賊」という、怪盗ヴィオレを題材にした人気劇を書いた。略称ジィン。劇団員からは「オトメ先生」と呼ばれている。
【ルーティル・バード】可愛いおばあちゃん。だいたい300歳くらい。見た目はゴスロリ美少女だがいくらか魔物。
【レナード】グラッドストーン家現当主。マーフォードの領主。領民のことを第一に考える人。エドワードの考え方の多くの部分を作り上げた人。
【ロジャー】エドワードの兄。辛辣な性格だが、じつは兄バカと言えるほどエドワードのことが気になってしかたがない。陽気で呑気者の家族たちの中で唯一愛想がないのはおおらかすぎる家族を心配するあまりそうなったのかもしれないらしい。チャームポイントは眉間の縦皺。理想の女性像は「息を飲むほど美しく、しかも理屈っぽい彼を屈服させるほど聡明な女性」。ジェイドに一目惚れ。エドワードは大丈夫だろうかとちょっと心配している。
【ロンドラ】首都。こちらの世界でのロンドンにあたるようだ。

2010年2月13日土曜日

森薫「エマ」

1巻
19世紀末ロンドン。
芦奈野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」と坂田靖子「バジル氏の優雅な生活」の両方の雰囲気があるような。
あっさりした絵柄とほわほわした物語。

2巻 2003年
ひとりっきりになったエマ。
身分違いの恋に否定的なウィリアムの家族たち。

3巻 2003年
人が変わったように真面目になったウィリアム。グレースとハキムだけは疑問を感じるが彼の真意は?一方エマは新しい職場に就きとまどい、過去をひきずりながらも歩みはじめていた。そして著者が女性だとわかる驚愕の一冊。

4巻 2004年
ついにエレノアと婚約したウィリアム。どんどん後に引きにくくなっている。婚約パーティーのさなか再会する二人。

5巻 2005年
森 薫
エンターブレイン
発売日:2005-03-31

19世紀末英国。メガネをかけたメイドさんが上流階級のお坊ちゃんと恋におちた。さまざまな障害を前にした二人のせつなくもゆったりした物語。

この巻では。

ロンドンから戻ったエマは少し明るくなっていた。
再会の後さらに愛を募らせる二人。

そしてウィリアムがハワースにやってきたときのドキドキのシーン。

エレノアの気難しそうな父、キャンベル子爵も登場。最大の敵となるか。

今回の著者の趣味的な部分はエマがメイド服を身につける一連の着替えのコマかな。


-19世紀末ロンドン
-メガネをかけたメイドさん
-やさしい上流階級の青年
-身分違いの恋
-上流階級
-ゆったりした展開
-インドの王族
-抑制

エマに関する簡単なリストを下に置きます

【アーサー】ウィリアムの弟。次男。寄宿学校の監督生。まじめな性格。
【アニー】エレノアのメイド。
【アル】ケリーとダグの古い知り合い。
【アデーレ】エマの新しい職場メルダース家のメイド長。クールな感じ。
【アルマ】メルダース家のメイド。
【イーダ】メルダース家の厨房要員。
【イライザ】上流階級3人娘の一人。ちょっとキツ目の感じ。結婚相手への条件が高い。
【イルゼ】メルダース家のお嬢様。5歳。
【ヴィーク】メルダース家の家政婦(ハウスキーパー)。ヨハンナとは仲が悪いらしい。
【ヴィヴィー】ウィリアムの妹。次女。気が強い。ハキムに興味津々。
【ヴィオレット・グレイ】道を踏み外した女(トラヴィアータ)。今後物語にどうかかわってくるか不明。
【ヴィルヘルム・メルダース】ドイツからの移民者。
【ウィリアム・ジョーンズ】主人公。上流階級の青年。やさしいぼんやりした性格。エマさんに一目惚れ。
【エマ】主人公。先生のとこの眼鏡をかけたメイドさん。すごくモテるがすべて断っている。なぜかウィリアム坊ちゃんには惹かれている。
【エーリヒ】メルダース家の坊ちゃん。
【エレノア】社交界で会った女性。ウィリアムの相手としてリチャードが選んだ。お嬢さまならではのわがままさはあるものの、すなおないい娘さんではある。なぜかウィリアム坊ちゃんに一目惚れしたもよう。
【オーレリア】ウィリアムの母。別居中。
【キャンベル子爵】エレノアの父。ヴァイオレットのパトロン?ジョーンズ家など蔑んでいるお偉い人。
【グレイス】ウィリアムの妹。長女。おっとりしていて心配性。エレノアとは友人。若い娘さんたちに人気がある。同性から見て素敵なレディーなのだろう。
【ケリー・ストウナー】エマを拾い育てた主。ウィリアムが子どもの頃の家庭教師。厳格な先生だったのでウィリアムはちょっと苦手。18歳のとき結婚して20歳のとき寡婦となる。今は家庭教師業を引退している。
【小雲雀ちゃんたち】エレノアの友人の三人娘。かわいらしくかしましい。イライザ、
【コリン】ウィリアムの弟。三男。まだ小さい。
【スティーブンス】ジョーンズ家の執事。
【ゾフィー】メルダース家のメイド。
【ダグ】ケリーの死んだ夫。
【ターシャ】エマが汽車で知り合ったメイド。メルダース家に勤めている。ひとつの職場で2年以上続けられないところが悩み。明るい性格。奥様はなぜかターシャをよく連れていく。
【テオ】エーリヒが飼っているリス。
【トマス】メルダース家の執事。
【ドロテア】メルダース夫人。完璧に見えるが大ざっぱでさばけた女性。
【トロロープ】ドロテアの友人。謎の人らしい。珍しいものが好き。ウィリアムと関わりがあるようだ。って、まだ姿の見えてないあの人に決まってるか。
【ニニ】ミセス・トロロープが飼っているサル。いきなりエマのスカートの中に突っ込んだ。
【ハキム】ウィリアムのインドの友人。王族。エマに求婚する。
【ハンス】メルダース家の執事。クールな感じ。エマのことが気になる。ドイツ人。
【ファニー】上流階級3人娘の一人。おっとり系。
【ブルッフ】メルダース家の執事。
【フレデリック】モニカの夫。
【ブレナム夫人】慈善活動が好きな人。
【マーサ】トロロープ家のメイド。おばあちゃん。
【マリア】メルダース家のメイド。アデーレと同室。
【マルセル】前にハンスにひどい目にあったらしい。今はいない。
【ミューディーズ】貸本屋。
【モニカ】エレノアの姉。ミルドレイク伯爵夫人。三人娘もちょっと引く相手。エレノア大好きの怖い人。
【森薫】おまけの後書きマンガで活躍。女性らしい。メイドしか描けないメイド漫画家。
【ヤン】メルダース家の執事。
【ヨハンナ】メルダース家のコック。厨房をまかされている肝っ玉母さん。ヴィークとは仲が悪い。ドイツ人。
【リタ】メルダース家の厨房要員。ハンスのことが好きみたい。
【リチャード・ジョーンズ】ウィリアムの父。「英国はひとつだが中にはふたつの国が在るのだよ すなわち上流階級以上とそうでないもの」
【ロバート】ウィリアムの友人。

2010年2月10日水曜日

幽霊とゴキブリのゆるやかな類似

幽霊はGに似ている?

いるかいないかよくわからない。
が、つねにいつのではないかと疑いは抱いている。
出会うときは夜中が多い。
ふと気づいたら、いる。
いきなり出会うことになるので、どこか驚愕する。
こわがっている人ほど出会いやすい。
探しているときにはなかなか見つけられない。
ことに悪さをしていないように思われるのに、なぜか恐ろしい。
古めかしい洋館よりも、むしろ現代的な住宅に出たときの方が恐ろしい。
出会う機会は減ってきている。

さてじつはこの文、イーディス・ウォートンの「幽霊」という短編集の読書感想なのだ。

幽霊
Amazon bookmark with Amab.jp on 10.02.04
Edith Wharton, 薗田 美和子, 山田 晴子
作品社 (2007-07)


この品のいい物語群をゴキブリと対比するのも申し訳ないが、なぜかあの黒光りするヤツを思い出してしまったのだ。
それで、類似点を考えてみたのだが。

最近の恐怖モノは、怖がらせることにはおそろしく進化している。
しかし、どこかガサツでもある。
びっくり箱的であり暴力的でもある。
情緒はない。

幽霊はやっぱり情緒的でなければねと物足りなく感じられる方には、こういうしめやかな幽霊譚はおすすめできる。
さほど怖くはないが、ファンタジーとして上質かと。

ことに好きなのは犬が出てくるやつ。
くわしく書くと興ざめなので、ここまでにとどめておくが。

2010年2月5日金曜日

朝青竜さん引退?

朝青龍さんは残念。
朝刊を見て、驚きはしなかったが、惜しくはあった。
貴乃花新理事も手腕(考え)を見せるチャンスを失ったかもしれない。

「のたり松太郎」をみんな楽しんでいたと思うのだけど、そこまでじゃない程度にしてもそんなタイプが実際にいるとなると許せないのかとは思う。
銅像にすらなった「こち亀」の両さんみたいな警官が実際にいるとたぶん誰も許してくれないだろう。
人は奔放さに憧れつつも、他者の奔放さは許さない。
うらやましいのだろう。やっかみということだ。それができる人間に対しての。
現実にはいないとわかっている場合のみ許せるのだろう。
許さない時代。
自分には甘いが他者は許したくない。

異質なものをおもしろがれるだけの許容力があってもいいとは思う。
品行方正な相撲取りばかりじゃ楽しくない。
品を重んじる現在の相撲界でも、「土俵がすべて」なら土俵上が横綱として見苦しくなければそれでいいはずだ。

さて、朝青龍。
大相撲人気復活のカギかもしれないと考えていた。
手っ取り早い手段として。
できれば力が衰え始める前、もうちょっと前の時期に。

相撲界の構造は変えなくとも、一人のヒーローが登場すれば人気は出るのだ。
ヒーローを成り立たせるためには、まず魅力的なヒールが必須。
むしろヒールの方が重要。
朝青龍さんを完全にヒールに位置づければいいのだった。
憎まれるが最強!
そんな存在。

以下のようなことをさせる。

好き勝手やる。
土俵外の言動も最悪。
他人(横審や大相撲の理事など)の神経を逆なでする。「大相撲を征服する」とか「○×理事はバカヤローだ!」とか言ったりしてね。うーん、これだとむしろ一般受けするかもしれない。
まあ、いいか。そこはかとなくユーモラスで茶目っ気があってもいい。
その奔放さゆえに一部での人気はある。
奇抜な衣装で登場する。
顔にくまどりなどを入れる。
毒霧を吹く。
ヒール軍団を作っている。幹部や美形の怪人がいたりする。
などなど。

そこに敢然と現れたヒーロー。
白鳳さんではちょっと地味かもしれない。
日本人にとってはできれば日本人がいいのだろうし。
あの人は「日本人以上に日本人力士」らしくはあるが。
でも、ヒールが魅力的であれば、ヒーローは誰でもいいとは言える。

ヒールとヒーローの間には長きにわたる因縁がある。
ちゃんと物語を作るのだ。
私生活でも土俵上でも。
ヒールがヒーローの家族に乱暴したり、汚い手段で優勝をかっさらったり。
だいたいヒーローの方がひどい目に遭っているのだが、たまにヒールをギャフンと言わせたりはしている。
ただし、ヒーローはそこそこ孤独な方がいい。

ショッカーと仮面ライダーかな。
あるいはどこぞのプロレスですな。

そのくらいやれば面白がる人はちょっと増えるかも?
逆に崩壊するかもしれないが。
もっとも、今のかたちの大相撲なんて、そうたいした歴史があるわけでもない。
宿禰と蹶速あたりから考えるから長く見えるのだ。
神話・神事と娯楽をひとつながりに考える必要もないだろう。
多少、壊しても大丈夫。
かつて壊した故に神事から娯楽になれたのだろうから。

最初から八百長くさいから今さら八百長かどうかで文句もつけられなくなるだろうし。

ともあれ、そのための惜しい人材を失くしたものだ。

2010年2月3日水曜日

買った本4冊

本日のよかったこと。

用事があったので会社を早めに出た。用事をすませたら少し時間があったので久しぶりに古本屋に行った。
文庫を4冊ほど買った。

串田孫一「文房具56話」ちくま文庫。
串田孫一さんはやさして透明感のある文を書く。
かなりたくさん著作を持っているし、かつその人の文具についての一冊だというのにいまだ手にしていなかった方が不思議だ。

別役実「思いちがい辞典」ちくま文庫
ときおり読む。ハズレの少ない著者だ。
笑えるのにもかかわらずなぜか膝を打って「なるほど」と、異なる角度からのものを見せてくれる。

安野光雅「狩人日記」文春文庫
この人の絵は好きだ。
力が抜けているのに端整だ。
エッセイも愉しいが挿絵が目的だ。
絵のある文庫だけでも全部手に入れようと考えている。
この本はまだ持っていなかった・・・はずだ。

松本哉「永井荷風ひとり暮らし」朝日文庫
ほとんどの場合、作家の人生に興味は抱けない。
日記や手紙も読みたいとは思わない。
作品だけ読んでいればそれでいい。
永井荷風は数少ない例外の一人だ。
こういう生き方はしてみたい。
ぶざまにしかしだからこそかっこよく見える。
この本の著者も「作品以上に本人が面白い」と言っているそうだ。
さまざまなエピソードを教えてもらえるなら読んでみよう。
挿絵がたくさんあるのもいいところだ。
著者は科学畑の人らしい。そこも気に入った。

2010年2月2日火曜日

欲しい本 「間取りの手帖」

住宅の間取りの平面図を集めただけの本。
簡単なキャプションはついている。
べつに平面図フェチではないがなぜか惹かれる。

2010年2月1日月曜日

財布を忘れて~

今日は家に財布を忘れてきた。
ある程度の年齢になって財布を持ち歩くようになってから以降、記憶してる限りでは初めて忘れた。
缶コーヒーも飲めない。
買おうと思っていた雑誌も買えない。

なによりも、
昼飯が食えない。
これはなかなかキツかった。
腹が減るというよりも、気分転換ができなかったのが痛かった。

でも、悪いことばかりではない。
昼飯を食べなかったからか、妙に頭は冴えていた。
集中力が下がらなかったというのが正確なところか。

食べることによる、どこかしら「欲望に負けた」感も感じないで済んだ。
他の人はそういう感覚はないだろうか?

たまには財布を持たない日をつくってもいいかもしれない。