いるかいないかよくわからない。
が、つねにいつのではないかと疑いは抱いている。
出会うときは夜中が多い。
ふと気づいたら、いる。
いきなり出会うことになるので、どこか驚愕する。
こわがっている人ほど出会いやすい。
探しているときにはなかなか見つけられない。
ことに悪さをしていないように思われるのに、なぜか恐ろしい。
古めかしい洋館よりも、むしろ現代的な住宅に出たときの方が恐ろしい。
出会う機会は減ってきている。
さてじつはこの文、イーディス・ウォートンの「幽霊」という短編集の読書感想なのだ。
この品のいい物語群をゴキブリと対比するのも申し訳ないが、なぜかあの黒光りするヤツを思い出してしまったのだ。Amazon bookmark with Amab.jp on 10.02.04Edith Wharton, 薗田 美和子, 山田 晴子
作品社 (2007-07)
それで、類似点を考えてみたのだが。
最近の恐怖モノは、怖がらせることにはおそろしく進化している。
しかし、どこかガサツでもある。
びっくり箱的であり暴力的でもある。
情緒はない。
幽霊はやっぱり情緒的でなければねと物足りなく感じられる方には、こういうしめやかな幽霊譚はおすすめできる。
さほど怖くはないが、ファンタジーとして上質かと。
ことに好きなのは犬が出てくるやつ。
くわしく書くと興ざめなので、ここまでにとどめておくが。
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